20260202第20回OralScienceCafe第20回 サイエンスカフェ(歯科医療×AI・BNCT・イノベーション)

全体要約(喋ラボ様のご協力により自動で生成しております)

日時:2026/02/02 19:00~

全体要約

第20回となるサイエンスカフェでは、まず坂東氏から、医療機能評価機構等のテキストデータを用いたAIによる医療事故・ヒヤリハット分析システムの紹介と、その歯科領域への応用可能性が具体的に示された。次いで、阪大発ベンチャーiCatを率いる十河氏が、CTを用いたインプラント支援、口腔機能トレーニングアプリ、迅速歯周病菌検査などの産学連携事例を紹介。後半では、郡山に導入されたBNCT(ホウ素中性子捕捉療法)の経緯と、口腔機能温存を主目的とする新たな臨床研究構想、次世代BNCT(より安価な中性子源)のアイデアが共有された。あわせて、サイエンスカフェ動画のアーカイブ化や4月の多職種連携フォーラム、次回以降の講演候補も確認した。

AIと医療事故・ヒヤリハット分析の歯科応用

坂東氏から、使用データベースの整理: 日本医療機能評価機構(JQ)の医療事故約6.2万件、ヒヤリハット約9.4万件、歯科ヒヤリハット約2620件(2023年〜)を確認し、既存の自作DB(ヒューマンエラー約8000件)との統合を前提に分析していることを説明
テキスト中心の分析方針: 画像ではなくテキスト(報告書本文)を対象とし、キーワード検索・類似度計算・クラスタリングなど自然言語処理で医療安全に役立つ知見を引き出す方針を紹介
キーワード検索の結果: 「嚥下」「嚥下+障害」「嚥下+訓練/リハビリ」「インプラント」「咀嚼」等でJQ全体DBと歯科DBを検索し、歯科特有事例はまだ件数が少ない一方、一般医療DB側に口腔機能関連事例が相当数含まれることを報告
階層型クラスタリング: 事例間の「距離」をAIに計算させ、類似事例をグルーピングしデンドログラムで可視化する手法を紹介。従来は人が各クラスターにタイトル付与していたが、今はChatGPT等の生成AIに代表事例数件を与え、100字程度の要約・タイトルを自動生成させる運用が有効と説明
類似事例抽出システム: 病院フォーマットのインシデント報告書(Excel)を入力し、自作AIソフトでJQ+自院DBから類似事例を上位数件抽出する仕組みを紹介。嚥下障害・無投薬例を入力すると、同様の他院例が抽出され、背景要因や再発防止策を臨床側が参照できる実装状況を説明
歯科向けDB・フォーマットの必要性: 歯科ヒヤリハットDBのメニュー化された「概要」「事故内容」項目を再分類すれば、歯科版カテゴリ表を構築可能との見通し。さらに歯科共通のインシデント入力フォーマットを作れば、多施設で類似事例検索を共有できると提案

医療安全と歯科トラブルに関するディスカッション

内科・歯科のトラブル頻度: 自己調査資料から、医療トラブル件数は内科が最多で歯科が2位、歯科ではインプラント埋入と親知らず抜歯がトラブルの中心であるとの現状を共有
ヒヤリハットとのギャップ: 実際のトラブル件数に比べ、歯科ヒヤリハットDB(2620件)は件数が少なく、2023年開始で歴史が浅いことに加え、一般開業医でヒヤリハット報告文化が十分でない可能性も指摘
歯科ヒヤリハットDBの全体解析方針: 歯科2620件を一括取得し(年度別ダウンロードを駆使)、階層型クラスタリング+生成AI要約で10〜20クラス程度に分類し、「インプラント関連」「親知らず関連」など、歯科特有のリスク構造を可視化することを坂東氏が検討
臨床家の期待する使い方: 須貝氏から、自院のインシデントを入力すると、類似事例と対応策が一覧で出る機能があれば臨床に大変有用とのコメント。坂東氏は薬剤部との共同研究では既に運用中であり、歯科版への展開は技術的に可能と回答
今後の連携の呼びかけ: 瀬戸氏から菅井氏へ、坂東氏と直接連絡を取り、歯科ヒヤリハットの収集・分析・システム化を共同で進めることを提案

新規参加者・関連プロジェクトの紹介

十河基文(阪大歯・iCat)の自己紹介: 大阪大学補綴出身で、大学発ベンチャーiCat代表取締役CTO(「CT好きなおっさん」)。インプラント手術支援システム(CTシミュレーション+ガイドサージェリー)を開発し、誰でも安全にインプラントができる環境づくりに従事
口腔機能トレーニングアプリ: オーラルディアドコキネシス(「パ・タ・カ」)などの検査と体操を一体化したゲーム型アプリを開発し、万博会場等で400名規模の体験イベントを実施。遊んでいるうちに自然と口腔機能が鍛えられる設計
迅速歯周病菌検査システム: 18分で歯周病関連菌を検出できるリアルタイムPCRベースの装置を開発。コロナ禍ではバムサ社と共同で15分PCRによる新型コロナ検査も提供し、歯科以外の医療分野にも技術を展開
今後のサイエンスカフェでの講演打診: 山森氏や春日井氏から、口腔機能管理や歯周病予防の最新知見を本カフェでも講演いただきたいとの要望があり、十河氏も今後の継続参加・発表に前向きな意向を表明
他参加者からのコメント: 山森氏より、iCatによるインプラント教育実習への貢献への謝意と、サイエンスカフェでのより詳細なテーマ講演への期待が述べられた

BNCT(ホウ素中性子捕捉療法)の現状と次世代構想

郡山でのBNCT導入の経緯: 東日本大震災後も稼働した陽子線治療施設の実績を背景に、経産省からの打診で世界初の病院内BNCT装置導入を決定。2016年完成、2020年から保険診療として運用中で、瀬戸氏・井川氏らが立ち上げに深く関与
井川氏の現在の立場: 早稲田理工→東北大学歯→東大口腔外科を経て、現在は岡山大学 中性子医療研究センター所属かつIAEA関連業務にも従事。BNCTに関する細胞生物学・線量評価・教育を担当
BNCTと光免疫療法の位置づけ: BNCTはホウ素薬剤+中性子照射、光免疫療法は光感受性物質+光照射により腫瘍細胞のみを選択的に破壊し、正常組織を温存する低侵襲がん治療として注目されていることを井川氏が概説
症例数の課題と新コンセプト: 保険適用があるものの、口腔がん症例数は期待より少なく、経営面でも課題。PMDAが定める「手術不能・標準治療後再発例」に限定した適応が一因と考えられる中、瀬戸氏は「機能温存」を主目的とした口腔がんBNCT研究(探索的試験)の必要性を提起
A-MED申請と多施設体制: 東京科学大学(医・歯放射線科・口腔外科)、東京工業大学、筑波大放射線科、東北大学歯学部放射線科・耳鼻科など、4大学・8教授の連携体制でA-MED公募(2025/11締切案件)に申請済み。結果を待ちつつ、保険診療枠を活かした探索研究も視野に入れている
次世代BNCT構想: 現行の陽子線加速器で中性子を発生させる方式に代わり、電子ビームなど別種の加速器を用いることで、装置コストを1/10程度に抑えた新世代BNCT装置の可能性を検討中。谷口氏・鬼柳氏(北海道大)ら加速器物理の専門家と議論が進んでおり、今後本カフェでの詳細紹介を予定

サイエンスカフェ動画アーカイブとeラーニングとの連携

動画の蓄積状況: 2025年11月頃からのサイエンスカフェセッションは、和泉氏と山下氏の作業により順次動画化され、YouTubeに非公開でアップロード済み
「お役立ち動画集」の設置方針: 歯科施設基準研修用eラーニングサイトの中に、研修本編とは切り離した「お役立ち動画集」コーナーを設け、サイエンスカフェの一部講演(例: 草川氏の嚥下講演、坂東氏のAI医療安全講演など)を掲載する構想が示された
公開手続き: 現在は公開許可取得前のため非公開。今後、各発表者に動画内容を確認してもらい、個別に公開可否と利用範囲の許諾を得た上で、「お役立ち動画集」として段階的に公開していく方針
研修カリキュラムとの関係: 厚労省の認定を受けた正式な研修カリキュラムとは別枠とし、あくまで自主学習・参考資料として位置づける点を確認

多職種連携フォーラム(総合東京病院)関連

4月23日のフォーラム開催案内: 練馬で開業する草川氏より、総合東京病院内「練馬医療介護多職種連携会」フォーラム第2回を、2026/04/23 18:30〜開催予定との案内。昨年11月の第1回は高評価で、今回もサイエンスカフェとの連携を継続
プログラム案: 口腔嚥下に関する講演に加え、代田先生(昭和大前教授・総合東京病院所属)による骨延長(骨延長症・骨炎症に関連した内容)の講演を組み込む方向で瀬戸氏から依頼。草川氏・佐々木氏がプログラム調整を担当
オンライン参加の可能性: Zoom等によるオンライン配信・遠隔参加も検討中であり、決まり次第、サイエンスカフェ参加者にも案内予定
関連論文の報告: 草川氏が本カフェで発表した嚥下に関する内容を、日本健康科学学会誌に論文投稿し、掲載決定済みであることを報告(掲載号確定後、改めて共有予定)

今後のアクション・宿題

坂東氏: JQ歯科ヒヤリハット約2620件を年度別に取得し、階層型クラスタリング+生成AI要約により10〜20クラス程度の類型化を試行し、歯科のリスク構造(インプラント・親知らず抜歯等)を俯瞰する
菅井氏・坂東氏: 連絡を取り合い、歯科インシデントデータの収集方法・入力フォーマット・類似事例検索システムの歯科版構築について具体的な検討を進める
和泉氏: サイエンスカフェ各回の動画について、発表者へ内容確認と公開許諾を個別に依頼し、了承分から「お役立ち動画集」としてeラーニングサイトに掲載する
草川氏・佐々木氏: 4/23 総合東京病院フォーラムのプログラムに代田先生の「骨延長」関連講演を正式に組み込み、オンライン配信の可否を含めて詳細を次回以降共有する
十河氏: 次回以降のサイエンスカフェで、口腔機能管理アプリや迅速歯周病菌検査などの詳細な講演を行う方向で内容を検討する
BNCT関連メンバー(瀬戸氏・井川氏ほか): A-MED採択結果を待ちつつ、口腔機能温存を主目的としたBNCT探索研究プロトコルを整備し、次世代BNCT(電子線中性子源)構想も含めた情報を今後のサイエンスカフェで共有する

次回予定

次回開催日: 2026/03/02(月)19:00〜(第1月曜)開催予定
予定テーマ(案): 十河氏による口腔機能・口腔衛生関連の話題、BNCT・中性子医療の続報、AI医療安全分析(歯科版)の進捗共有 など(詳細は調整のうえ案内予定)